『天穂のサクナヒメ』(てんすいのさくなひめ)は、アクションRPGと農業シミュレーションを融合させたゲームです。2020年11月に日本で発売され、その後、世界中で評価されました。
- 開発元: エディア(EDIA)とマーベラス(Marvelous)
- 発売日: 2020年11月10日
- ジャンル: アクションRPG、農業シミュレーション
- プラットフォーム: PlayStation 4、Nintendo Switch、PC(Steam)
「農業×アクション」という今までにない斬新なゲームは、なぜこんなに評価されたのか?
- 評価(面白さ・ストーリー・ゲームシステム)
- 戦闘バランスと農業シュミレーションの深さ
- 難易度
- プレイ時間・やりこみ要素
これらをプレイした目線でまとめました。
農業要素がリアルすぎて農林水産省が攻略のカギ
『天穂のサクナヒメ』では、サクナヒメの成長と戦闘の成功において、米作りが非常に重要な役割を果たします。作物の育成や収穫が、戦闘時の回復アイテムやステータス強化に直結しているからです。米作りの成功がゲームの進行を左右します。
高品質な米を収穫するために、農林水産省が推進する米作りや農業技術の知識をフル活用する猛者があらわれます。結果として、農林水産省のHPが攻略サイトと化してしまったのです。
農林水産省が提供する農業技術や育成方法、気候への対応などの知識が、ゲーム内の農業システムとリンクしており、プレイヤーがこれらの要素を理解し活用することで、ゲーム攻略がスムーズになります。
どれほど農業がゲームプレイに深く関わっているのか、またそのリアルさがどれだけプレイヤーを引き込むのかについて詳しく解説します。
米作りのリアルなプロセス
ゲームは、田んぼの準備から収穫までの一連の流れをプレイヤーに体験させてくれます。農業を進めるためには、土壌管理、気候の変化、肥料の使用など、さまざまな要素に気を使う必要があります。
具体的には、以下のような手順で米作りを行います。
- 田んぼを耕す :サクナヒメは田んぼを耕して、苗を育てるための土台を作ります。この段階では、田んぼの状態や土壌の質が重要な要素となり、作物の成長に大きな影響を与えます。
- 苗を植える:田んぼが整備されたら、次は苗を植えます。苗の植え方も重要で、適切な間隔で植えたり、手入れをしてあげることで、作物の成長がスムーズに進みます。
- 水やりと天候管理:天候によって水位が変化したり、雨や乾燥などの気候の影響を受けます。雨が多すぎると水害の危険があり、逆に乾燥しすぎると作物が育たないため、常に気を配る必要があります。
- 収穫とその後の処理:収穫後には、稲を乾燥させたり、保存したりする工程も必要です。
この一連の流れを実際に体験することで、プレイヤーは米作りに対する深い理解と満足感を得ることができます。
土壌の管理と肥料
土壌の質は作物の成長に直結します。土が乾燥しすぎていたり、逆に水分過多だったりすると、作物の育ちが悪くなります。プレイヤーは土壌をよく観察し、その状況に合わせて水や肥料を調整する必要があります。
このように、農業の要素が非常に繊細でリアルに描かれている点が、『天穂のサクナヒメ』の大きな魅力のひとつです。
季節の変化と作物への影響
春、夏、秋、冬といった四季のサイクルを通じて、作物の成長が進んでいきます。これらの季節ごとに作物の成長スピードや収穫のタイミングが変わるため、プレイヤーは季節ごとに異なる農業作業を行わなければなりません。
例えば、夏の暑さや冬の寒さは、作物に悪影響を与える可能性があり、温度や湿度に気をつけながら作物を育てなければなりません。
2Dアクションの爽快さと戦略的な奥深さ
ボス戦は、単なるアクションゲームの戦闘ではなく、プレイヤーには戦略が求められます。ボスはそれぞれ個性的な攻撃パターンを持っており、戦うたびに新たなテクニックや戦術を駆使する必要があります。
例えば、ボスの攻撃を回避しつつ、隙間を見つけて攻撃を仕掛けるタイミングをはかるなど、攻撃ボタンを連打するだけでは勝てません。
魅力的なストーリーとキャラクター
『天穂のサクナヒメ』の魅力の一つは、深みのあるストーリーと個性豊かなキャラクターたちです。
ストーリーの概要
『天穂のサクナヒメ』は、サクナヒメという神様が主人公となり、彼女が人間界で米作りをしながら、力を取り戻すために戦うという物語です。サクナヒメは元々、稲作の神として知られ、豊穣を司っていましたが、ある事件をきっかけに人間界に追放され、そこで農業を通じて自らの力を取り戻すことになります。
物語の発端は、サクナヒメが人間界に放り込まれ、農業を営む村の人々とともに生活を始めるところから始まります。最初は強引で自己中心的な性格のサクナヒメですが、次第に村の人々との交流を通じて成長し、信頼を築いていきます。彼女の目標は、村の危機を救い、過去の過ちを償うことです。
物語は、サクナヒメが米作りを進める中で出会う自然の精霊や動植物、異世界の神々との交流、そして強大な敵との戦いを描きながら、プレイヤーがサクナヒメと共に成長していく過程を描いています。このストーリーは、努力と成長のテーマを中心に、プレイヤーに感動を与えます。
サクナヒメ – 神でありながらも人間臭いキャラクター
サクナヒメは、物語の中で自信家であり、どこか高慢なところもありますが、それが彼女の魅力の一つでもあります。農業を始めたばかりの頃は、稲作や農作業に対して全く理解がなく、周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。
しかし、次第に農業の大切さを理解し、自分の力を使って村を守ろうと奮闘します。
彼女の成長過程を追いながらプレイするのは、非常に感情的な体験です。サクナヒメは、神々の力を持ちながらも、最初は人間社会に馴染むことができません。
その反面、少しずつ他者との関係を築き、弱さを見せることで、プレイヤーは彼女に親しみを感じることができます。サクナヒメが農業を通じて成長し、最終的には人間としても神としても大切なものを守ろうとする姿は、物語を通しての大きな感動を生み出します。
農業と戦闘を繰り返すゲームプレイの進行
プレイヤーはサクナヒメとして、農業を営む一方で、戦闘を繰り返すという二重の目的を持ちながら、物語を進めていきます。
その過程で、どちらの要素も進行に合わせて強化され、自由度の高い進行が可能です。
ゲームの進行は、主に農業と戦闘を交互に行いながら進めていきます。最初はサクナヒメが基本的な農業を学び、作物を育てるところから始まります。
農業の成果が戦闘能力に直結するため、作物の育成は戦闘の準備ともいえます。育てた作物を食事として活用し、サクナヒメの体力や攻撃力を強化していくのです。
作物の収穫後、サクナヒメはその食材を使って料理を作り、バフをかけることができます。これにより、戦闘の前には農作物の成果を活かした準備をしてから戦闘に挑むことになります。
戦闘は、物語の進行に合わせて強化される一方で、サクナヒメが新たな武器やスキルを手に入れることで、より難易度の高い敵と戦うことになります。
戦闘を繰り返すことでサクナヒメの能力が向上し、さらに強力な敵やボスとの戦いが待っています。このように、農業の進行と戦闘の進行が互いに影響し合いながら、ゲーム全体が進行していきます。
やりこみ要素
最高品の米作りを目指す
最初は基本的な栽培法から始まり、次第に高度な技術を学んでいきます。新たな品種を栽培したり、土壌の質を改善したりと、育成する過程において毎回新しい発見があるため、何度も挑戦する価値があります。
このため、クリア後も再度農作物を栽培して、最良の結果を目指して再挑戦する楽しさがあります。
バリエーション豊かな戦闘
サクナヒメは、戦闘の進行とともに新たな武器やスキルを手に入れ、戦闘スタイルを自由に変えることができます。槍や刀、弓など、武器ごとに異なる戦闘スタイルを使い分けながら、敵に応じた最適な戦術を練る必要があります。
ボス戦や強敵との戦闘では、敵の攻撃パターンを見極めて回避や反撃を行う必要があり、これを繰り返すことで戦闘スキルを上達させていきます。
また、リプレイ性の高い部分として、ゲーム内で登場する多くのサブクエストや収集要素も挙げられます。
例えば、特定のアイテムを集めたり、難易度の高い隠しボスを倒したりすることによって、特別な報酬を手に入れることができます。このようなサイドコンテンツは、ストーリーを終えた後でもやり込み要素としてプレイヤーを引きつけます。
難易度の選択
ゲームには難易度の高いチャレンジモードや、特定の条件下で戦う高難易度エリアなどがあり、これらを攻略することで強力な装備やアイテムを手に入れることができます。
また、プレイヤーが自分のペースで戦闘を進めることができるため、アクションゲームが得意な人でも初心者でも楽しむことができ、何度も挑戦したくなる要素が豊富です。
エンディングとその後
ゲームのエンディングは、プレイヤーの選択や農業の成果、戦闘の進行状況によって若干の差異が生じます。全てのサブクエストや隠し要素をクリアした後、さらなるエンディングが解放されるなど、完璧なプレイを目指すことができるため、クリア後も何度も遊ぶ価値があります。
評価が分かれる理由
『天穂のサクナヒメ』は、その独特なゲームプレイと魅力的な世界観から、非常に多くのプレイヤーに評価されています。ですが一方で、「面白くない」「つまらない」と評価する人もいます。
その理由についてまとめました。
農業シミュレーションの好き嫌い
『天穂のサクナヒメ』の核心となる要素の一つは、農業シミュレーションです。特に米作りに焦点を当て、季節の流れや作物の育成、収穫などがゲームの進行に重要な影響を与えます。
農業要素が好きな方には非常に楽しめるゲームですが、逆に農業に対する興味が薄い場合や、手間がかかる作業が苦手な方にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。
農業部分は、ただ作物を育てるだけでなく、管理や計画性が求められるため、プレイヤーが進行に合わせて試行錯誤しながら学んでいく楽しさがあります。しかし、これが面倒に感じると、ゲームの進行が遅く感じられるかもしれません。
アクションバトルの難易度
戦闘部分は、アクションRPGとしての要素を持っていますが、バトルは決して簡単ではなく、時には高い難易度が求められる場面もあります。
サクナヒメの戦闘スタイルは、しっかりとしたタイミングでの攻撃や回避が求められ、手ごたえのある戦闘が展開されます。アクションが得意でない方や、軽快なアクションバトルを楽しみたい方には少し疲れるかもしれません。
しかし、バトルの難易度はプレイヤーが農業で得たアイテムや料理で戦闘を有利に進めることができるため、戦略的に進めることが可能です。
戦闘の難易度が高い分、達成感も大きく、しっかりと戦闘を楽しみたい方には満足できる内容となっています。
時間をかけてじっくり楽しむタイプのゲーム
農業の要素や戦闘の反復があるため、短期間でサクサク進めるタイプのゲームを好む方には少し向かないかもしれません。
特に、作物の成長を見守りながら、季節や天候に合わせた育成計画を立てる作業が中心となります。これを楽しむには、一定の時間をゲーム内で費やす必要があります。
まとめと評価
『天穂のサクナヒメ』は、農業とアクションの異なるジャンルを組み合わせるという新しい試みが見事に成功した作品です。
ゲームの進行が自然と感情的な成長とリンクしており、プレイヤーはサクナヒメと共に苦しみ、成長し、最終的には成果を収めることができます。
グラフィックや音楽も日本の美を体現しており、ゲーム全体に統一感をもたらしています。特にストーリー性の深さと、キャラクターとの絆は、このゲームが単なる農業シミュレーションやアクションゲームにとどまらない理由です。
ゲーム性の豊かさと感情的な満足感を兼ね備えた本作は、ジャンルに関わらず多くのプレイヤーにおすすめできる作品です。特に農業に興味がある方や、アクションゲームが好きな方にも新たな体験ができるでしょう。
以上、「『天穂のサクナヒメ』評価レビュー|農業×アクションの新境地を探る」でした。
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