ご存知の方も多いと思いますが、さとり世代は扱いが難しいです。
一見してやる気がなく、何を考えているのか分からないのです。さらに発言と行動が一致していないことが多く、普通は知っているだろう常識を知りません。
下手に叱るとやめてしまう。今までのマニュアルが通用しない未知の存在です。多くの人がさとり世代の扱いに困っています。
なぜ自分が彼らの扱いで悩まなければならないのだろうと納得できないこともあるでしょう。しかし、さとり世代は彼らなりの考えを基に行動しています。彼らの思考を理解してあげましょう。
なんで自分が下手に出て理解してやらなきゃならないのか、と思うのはごもっともです。しかし彼らをコントロールするには必要なことです。
さとり世代の一番下の世代はまだ学生です。まだしばらくは、さとり世代と付き合っていかなければなりません。さとり世代と上手く扱う術を知っておきましょう。
さとり世代とは
さとり世代の扱い方の前に、さとり世代について知っておきましょう。対処するのは相手の実態を理解してからのほうが、より効率がいいです。
さとり世代とは、ゆとり教育を受けて育ち、現代社会を一歩引いた状態、冷めた目で見ている様子を「さとり」と揶揄したものです。「ゆとり」とバカにされた、ゆとり世代自身が「さとり」と名乗りだしたのが始まりです。
しかしあなたもご存知の通り、実際の意味の「さとり」とは程遠いものです。
「ゆとり」と「さとり」の違いが分かりにくいので、一度整理しておきましょう。明確に「ゆとり」と「さとり」に違いはありません。どちらも同じ世代を指しているからです。
ゆとり世代を一年でもゆとり教育を受けたことがあることと定義するなら、1987年4月2日~2004年4月1日生まれまでがゆとり世代です。
特に小中学校のほとんどでゆとり教育を受けた、ど真ん中の世代は1995~1998年生まれです。ど真ん中世代は、ゆとり教育しか受けていないので、ゆとり教育の弊害とも言える影響を強く受けています。
ゆとり教育を受けたことのある世代の末端である2000年代前半生まれの世代は、ほとんどゆとり教育を受けていません。
すぐに脱ゆとり教育へと教育方針が変わりました。そのため、ゆとり教育の影響はほとんど受けていないと言っていいでしょう。
そこで当記事で定義するさとり世代は、1998年生まれまでとします。
さとり世代の思考・価値観
次に、さとり世代は何を考え、どんな価値観で行動しているのかを解説します。
さとり世代は絶対評価で成績をつけられてきました。これは「やれる子はもっとやろう。できない子はできる範囲でやろう。」というものです。悪く解釈すれば、「やらなくていい」ということです。
円周率は3. 1415926535…ですが、「3」で計算していいよ、と言われれば「3」で計算しますよね。
「やらなくていいなら、やらない」これがさとり世代のスタンスです。
社会に出ても、このスタンスは変わりません。「社会人としての常識」「やるのが当然のこと」を、さとり世代は「やらなくてもいいこと」と考えています。だから、やらないのです。
さとり世代の根本の思考は「やらなくていいことは極力やらない」です。この価値観は私たちには理解しがたく、ただの甘えにしか見えません。しかし彼らは真剣に、なぜやらなければいけないのかが分かっていません。
まずあなたがやるべきは、「これはやらなければいけないことだ」と教えることです。
ここからは例を挙げて、さとり世代の扱い方を解説していきます。
例①連絡しない、してもギリギリ
さとり世代は連絡の意識が薄く、時間にルーズです。就業時間をシフト時間だと思っています。
仕事を終わらせる、一区切りつけるまでやろうという気がありません。時間が来たら、即終了して帰ります。
行動例
- 就業時間ギリギリに出社する
- 帰りは消えるようにいつの間にかいなくなる
- 連絡なしで遅刻してくる
- 休みの連絡をメールで済ます
さとり世代は褒めて育てられた世代です。叱られることに慣れていません。直接注意すると、非常にめんどくさいことになるので、やらないほうが無難です。
極端に言えば、会社を辞めるか、パワハラだと騒ぎだします。権利主張だけはしっかりしているので、たまったものではありません。まともに対処するとバカを見ます。
正しい扱い方
さとり世代の時間・連絡事項のマナーを改めさせるには、事前に決まり事として、やるべきことをルール化したマニュアルを作り渡してしまうことです。さとり世代は言われたことは、素直に聞き入れる傾向があります。
ルール①就業開始時間の10分前に間に合わないと思われるときは、必ず連絡すること。
これを見て、初めて10分前に来なければいけないと意識するでしょう。また、電車の遅延など故意でない場合にも連絡すること、連絡方法は電話に限る、など念を押しておきましょう。
ルール②休みの連絡は電話ですること。予定していた仕事の確認と仕事の穴埋め代替の要請を行うこと。休み中であっても、いつでも電話に出られる状況にしておくこと。
「休みの連絡をすること」だけだと「連絡さえすれば休んでいい」と勘違いしかねません。ちょっとしたことで休むと面倒なシステム作りをしておきましょう。
これらマニュアルはさとり世代だけでなく、社員で全員に渡し徹底させましょう。さとり世代だけにマニュアルを渡すと、自分だけが強要されていると感じ、不満の原因になります。
例②段取りが悪い、仕事が遅い
さとり世代は物事を段取り良くこなすことが苦手です。最終目的のために、まず何をすればいいのかが分かっていません。
可能性を想像したり、想定したりしないのです。その結果、不都合が起こると、想定外だったと言って自分のせいだと認めません。
具体例
- 段取りが悪い
- 仕事が遅い
- 仕事への取り掛かりが遅い
- 一日のスケジュールを立てていない
前述したとおり、さとり世代を叱ってはいけません。例え仕事の段取りが遅くても、「これをしろ」と指図してはいけません。
「効率よくするために、こうしたらいい」と答えを教えても、何度も同じ間違いをしてまるで成長しないのでおすすめしません。さとり世代自身が「やらされている」と感じ、仕事に責任感を持つ意識がないからです。
正しい扱い方
さとり世代を段取り良く仕事させたければ、まず声掛けです。「今なにしてるの?」「次はなにするの?」と聞くことで、仕事の段取りや効率を意識させましょう。
聞かないと何も考えずに、仕事してることがあります。「○○までにできるかな?」と時間を指定することで、ダラダラ仕事を阻止します。
「そんなに早くできない」と言われても、「みんなもこのくらいでできてるから、きっと君もできるよ」と励ましましょう。
さとり世代は何度言っても覚えない、成長しないことが多々あります。根気強さが大切です。
例③やりたくない仕事はしない
さとり世代は「やらなくていいことはしない」思考の持ち主です。「やりたくない仕事はしない」を本気で実行します。
望んだ部署に配属されなかったとき、想像と違った仕事だったとき「仕事をしない」「したくない」と結論付けます。雑用をする意義を見出せません。
具体例
- やりたくない仕事をしない
- 出社しなくなる
やりたくない仕事に出会うと、「こんなことをしたくて、この会社に入ったわけじゃない」と大口をたたいたり、あからさまにやる気のない態度をとったりします。怒りたくなる気持ちは分かりますが、じっと我慢してください。
正しい扱い方
これには根気強い説得が必要です。「今は無理でも、今後やりたい仕事ができるようになるよ。だから目の前の仕事をしよう」と言ってみましょう。
これでも納得しないようなら、先輩を連れてきて「みんな最初は好きな仕事ばかりやってきたわけではない」と体験談を話してもらうといいです。
なんだか子供に諭しているようで憮然としませんが、仕方ないことと自分に言い聞かせるしかありません。
もう一つの方法は「誰かがやらなくてはいけない仕事だから。君がやらないなら、他にやってくれる人を見つけて、君が頼んでみたら?」とあくまで提案するように言いましょう。
ほかの人を見つけるのは面倒で、自分がやったほうがましだと思って、やるようになります。
まとめ
さとり世代をうまく扱うポイント
- ①叱らない②共感してあげる③質問して考えさせる④できるまで何度も言う
さとり世代は会社にとって厄介でしかありませんが、会社を支える主戦力になる日まで育て上げるしかありません。頑張りましょう。
以上、「さとり世代の扱い方マニュアル!さとりとの価値観のズレはなぜ起こるのか」でした。
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