社内規定をきちんと見たことありますか?普通はよく見ないですよね。
労働条件や業務上のルールを定めたもので、出産や育児に関して記載されているのが普通です。
見るときのポイントは、社内規定と法律(労働基準法など)を見比べることです。
もしも社に規定に記載されている出産・育児の手当てが法律の基準を満たしていない場合、社内規定は無効となり、法律のほうが適用されます。
逆に法律より社内規定のほうが待遇が良ければ、あなたほ恵まれた会社に勤めているということになります。
当記事では、産休・育休の手当てが法律でどう扱われているのか、分かりやすく解説します。
目次
派遣やパートも産休・育休とれるの?
産休
働いている女性なら誰でも産休がとれる
産休に雇用形態は関係ありません。派遣社員、契約社員、パート、アルバイトなど、どんな雇用形態でも取得可能です。勤続年数も関係なく、入社してすぐでも転勤して間もなくても問題ありません。
ただし、男性は産休の対象外です。産休は母体の健康保護が目的のためです。
育休
育休は全ての人というわけではありません。
育休を取得できない人
- 日雇い労働者
- 1週間に2日以下の労働者
- 雇用期間が1年未満の契約社員
- 申し出た時点から1年以内に契約が終了すると決まっている契約社員
契約社員が育休を取得できる条件
- 雇用期間が1年以上あること
- 子が1歳以降も雇用されると見込まれること
- 子が2歳になる前々日までに雇用契約が満了し、雇用更新しないことが明確になっていないこと
上記全てを満たしていることが、契約社員の育休取得条件です。
産休・育休の報告は早めに
妊娠したら、できるだけ早めに会社に報告しましょう。社内規定の確認や産休・育休の手続きの確認などを行います。
会社と相談・確認は以下のことをします。
- 母体の体調の状況
- 今後の予定(休業・復帰のスケジュール)
- 休業中の業務代替体制、代替要員確保の必要性
- 妊娠~育児中に適用される会社制度、公的制度の確認
- 他社員への周知、配慮
産休・育休はいつから、いつまで?
産休の期間
産前休業は申請したときだけ、望まない場合は取得しなくてもいいです。
産後6週は女性が望む望まないに関わらず、休業が義務付けられています。産後6週以降~8週までは女性が望んだとき+医師が認めた場合に限り、労働が認められます。
出産日は産前に含まれます。出産日の翌日を産後休業の1日めと数えます。
産前休業は出産予定日の6週(42日)前に取り始めますが、出産予定日より前に生まれた場合は、結果的に産前休業は6週(42日)より短くなります。
また出産予定日より後に生まれた場合は、結果的に6週(42日)より多く休業することになります。
育休の期間
父も取得可能です。母は産後休業の翌日から取得可能です。
- 父母ともに育休を取得する場合、子が1歳2か月に達するまで育児休業を取得できる(育介法)
- 保育所が見つからない場合、子が1歳6ケ月まで延長できる(育介法)
この条件に不認可の保育所は含まれません。
妊娠中の勤務内容・休暇について
- 請求があった場合、他の軽易な業務に転換させなければいけない(労基法)
- 妊産婦について、労働時間、時間外・休日労働、深夜業に制限がある(労基法)
請求すれば、労基法上の1日8時間および1週間40時間を超える労働を拒否できます。また、時間外・休日労働、深夜業も断ることができます。休日の目安は4週間に4日以上です。
妊婦定期検診を受けるために休むことができます。
- 妊娠23週まで 月1回
- 妊娠24~35週まで 2週に1回
- 妊娠36週~ 1週に1回
- 上記以外に医師が必要としたとき
- 産後1年以内の検査を受けるとき
交通機関の混雑による苦痛(つわりの悪化など)がある場合、時差通勤、勤務時間の短縮ができます。
法律上、通院休暇中の賃金は無給でいいことになっています。
妊娠・産休・育休の手当てについて
傷病手当金
つわり、切迫流産、切迫早産により休んだとき、健康保険組合から支給されます。(自然分娩は対象外です)
期間は、連続して休んだ日の4日目以降~休んだ日数(最長1年6か月まで)
支給額
報酬日額(月給÷30日)の2/3×期間(日数)
ただし、傷病手当金より多い報酬を会社からもらっている場合は支給されません。また、出産手当金との併用はできません(出産手当金のほうが優先されます)
「健康保険傷病手当金支給申請書」を会社に提出します。医師の記入、証明が必要です。
申請は事後申請でokです。
出産手当金
期間は、出産日(出産予定日より後に生まれたときは出産予定日)以前の42日め(多胎妊娠は98日め)~出産日翌日以後56日までの仕事をしなかった期間
日曜日など会社の休日(公休日)も支給の対象です。出産直前まで働いていたとき、42日間に公休日があれば、その分は申請できます。
支給額
報酬日額(月給÷30日)の2/3×期間(日数)
手続きは「健康保険出産手当金支給申請書」を会社に提出します。医師の記入、証明が必要です。
会社に申請するタイミングは、出産後になります。
出産育児一時金
支給額は胎児1人に対し、原則42万円です。
医療機関と「代理契約」を結ぶと、健康保険組合から医療機関に直接支払ってくれます。
医療費が高額になる場合
帝王切開、入院などが対象です。
支給額は所得によって変わります。自己負担限度額以上を健康保険組合が支払ってくれます。
手続きは「健康保険限度額適用認定申請書」を提出します。
育児休業給付金
出産後58日以降が期間の対象です。
支給額は少しややこしいです。
育休中、賃金なしの場合。月額賃金(賃金日額×支給日数)の67%(180日までは67%、180日以降は50%)
育休中、賃金ありの場合。賃金が月額の80%以下のときは、80%の不足分が育児休業給付金で支払われる。
父母両方ともから支給できる
申請は育休中に行いましょう。
社会保険料の免除
免除期間は休業した月~復業した日の前月まで(最長子が3歳まで)
手続きは会社がやってくれるので、会社に申し出るだけでいいです。休業中に会社が申請するので、休業に入る前に申し出るほうがいいでしょう。
免除されても、年金額に反映されます
休業中の賃金について
法律上は休業中の賃金は無給でよいことになっています。
休業中の有給休暇は認められません。労働者に対する権利だからです。
不当に扱われない権利
「予定すること」とは、結婚などしたら退職することを慣例とすることです。結婚、妊娠、出産を退職理由としてはいけないと、法律で決められています。
- 妊娠中、産後1年以内の解雇は、事業主が妊娠・出産を理由とした解雇でないことを証明しない限り無効である(均等法)
- 妊娠・出産・産休・育休取得を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはいけない(均等法・育介法)
具体的な内容
- 妊娠したこと
- 出産したこと
- 産休・育休を取得したこと
- 妊娠・出産による症状で労働能率が低下したこと
- 法定労働時間を超える労働をしないと請求したこと
不利益な取扱いの具体例
- 解雇する
- 降格する
- 契約の更新をしない
- 契約の更新回数の上限を引き下げる
- 正社員を非正規社員にするような労働契約内容の変更の強要
- 業務をさせない、雑務に従事させる
- 不利益な自宅待機を命じる(育休後も休業を命じる)
- 減給する
- 昇進・昇格の人事において不利益な評価をおこなう
まとめ
産休・育休は全ての女性に与えられた権利です。様々な理由から産休・育休が取りにくい現状はありますが、あなたが気負わななければいけない理由はありません。
この記事があなたの産休・育休取得の手助けになれば幸いです。
以上、「産休・育休の手当は社内規定より法律をチェック!派遣・パートもOKなの?」でした。
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